Drive Map
- お店から10分位北上したところにミイラ(即身仏)が祀られ、一般公開されている古寺、横蔵寺がある。ミイラが見られる施設は、日本でも10数箇所しかなく、まさかそれがこんな伊藤自動車の近場の山奥にあるなんて、驚きの一言だ。この先、身の毛もよだつ恐怖体験が待っているとは、楽しいドライブの後のこの時点では、想像もつかない。
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せまい駐車場に大型観光バスが数台停まっていた。
- 紅葉の時期が来客のピークであるそうだが、確かに立派な楓が橋向こうの参道に立ち並んでいる。駐車場側のこの角度から見ると、赤い橋がアクセントとなって最高のビューポイントに。駐車場の警備員さんによると、観光客の殆どの人がこの橋をバックに記念写真を撮っているそうだ。
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古そうで歪な形をした石で積まれた石垣に、真っ赤な橋。
- このお寺は、1000年以上前に建立されたといわれているが、本当のところの古い寺史というものは、現在まで見つかっていないそうだ。しかし、そんなミステリアスな感じが、ミイラ伝説と相まって、この場所を特別なものにしているに違いない。何気ない門にも、タダならぬ雰囲気が漂ってくる。それもそのはず、この仁王門、県指定重要文化財に認定されている代物。門を見上げながら、益々期待は高まるばかりだ。
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他の観光地のような派手さはないが、そこかしこのモノに「本物感」が漂っている。
- 入門早々、横蔵寺境内の見取り図が現れた。境内の真ん中を何とも情緒溢れる雰囲気で流れる飛鳥川、その脇に立ち並ぶ御堂の数々。山奥にこんな立派な施設があるなんて、しかもその多くが国の重要文化財に指定されている事実、ミイラだけじゃない横蔵寺の懐の深さに圧倒される。看板をよく見ると、ミイラが安置される「舎利堂」の文字の上の部分に、黄色いシールが貼られていた。なにかを隠そうとしているのか・・・?目を凝らしてよく見ると、シールの上からうっすら浮かび上がった文字。そこには、確かに「ミイラ堂」の文字が・・・。
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ミイラが安置されるのは、地図左下の舎利堂。このルートで回ると、最終ラウンドでの対面となる。
- そうこうして御堂を渡り歩くと、「舎利堂」の看板が現れた。ここにもシールで文字隠し。「ミイラ堂」・・・の文字。天候と時間がゆるせば、ハイキングコースもあるようなので、機会を見てゆっくり遊びに来てみたい。ミイラが安置されている舎利堂には、拝観時間があるので、予め調べてから行かれることをオススメする。
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横蔵寺は創建当時、更に山の奥にあったそうだ。
- この看板によると、妙心法師が約200年前にミイラと化したらしい。ミイラを調べると、生きている状態で空腹状態になり、そこにうるしを流し込み、内蔵の風化を防いだという話もある。そんな話を聞くと、ミイラに会うのが、より恐ろしくなってしまう。しかし、ミイラは、すぐ目の前の建物の中・・・。ここは、腹をくくってミイラに会うしかない。ミイラを「ラーミー」と言って面白おかしく語っている番組があったが、それは、ミイラへの恐れを優しく緩和する行為だったのかもしれないと、今なら思える。
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舎利堂入口の看板。ミイラに会う前に心を落ち着かせるため無意味にこの文章を反復読みしてしまった。
- 日本のミイラが、海外のミイラと決定的に違うのが、生きたままミイラ化したという事実。現在は、法律上生きたままミイラ化することは許されないが、歴史や宗教の背景には、それに携わる者の深い信仰があることを垣間見られる。今回、出かける前に「ミイラ、ミイラ!」と浮かれていたが、実際のミイラ(即身仏)との対面を果たし、そんな"浮かれポンチ"の自分に恥ずかしみを覚えた。何か人生の中の貴重な経験をしたかの様な不思議な出会い。それが、今回の旅を一層思い出深いものに変えたに違いない。
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こんな写真でしかご紹介できないが、是非本物を見られることをオススメする。この僧侶の前に立つと感じられる、ピンと張り詰めた空気は、生で味わわないと得ることはできないだろう。
- 横蔵寺は、山奥にあるということもあり、耳を澄ましても雑音ひとつ聞こえてこない。鳥のさえずり、草木のせせらぎ。ここを訪れて強く感じたことは、自然の中に我々が生かされているということ。人類の進化は目まぐるしく、益々スピードを増しているように見えるが、本当は何も変わっていないのかもしれない。そんなことを、そっと教えられたように思う。
舎利堂と、様々な国の重要文化財の仏像を保管する瑠璃殿への入館料:300円。紅葉の時期は、駐車場代500円が必要となる。 -
夕方になると参道の灯籠に火が灯る。なんとも風流だ。ロードスターとの組み合わせも絵になる。